映画「武蔵野」

~江戸の循環農業が息づく~

~江戸の循環農業が息づく~


  • □あらすじ
  • ■武蔵野の四季
  • □登場人物
  • 武蔵野の四季

    四季の変化に富む日本の自然の美しさを誇らしげに見せるかのように、春から夏へ、そして秋から冬へ移ろう1年の循環は、「ヤマ」の多彩な風景となって現れる。

     新緑の春、「ヤマ」は萌黄色に染め上げられ、薄紅色の山桜が艶やかさを添え、地面は黄色や紫、白など、極彩色の野の花が咲き乱れ、野鳥のさえずりまでが共鳴して、まるで野外音楽ホールにいるようだ。「ヤマ」が1年で一番美しく輝く時である。


     夏ともなれば、「ヤマ」は濃緑に染め上げられ、昼夜を問わず、セミの大合唱で「ヤマ」は賑わう。酷暑の日も「ヤマ」のなかは微かにひんやりとして心地よい。


     秋になればコウロギや鈴虫の憂愁の音に心安らぐ。そして晩秋、紅葉の季節を迎え、緑、黄、橙、褐色といった多彩な色が入り乱れるようにちりばめられ、その色彩のグラデーションの見事さに息をのむ。


     冬、木々はすっかり葉を落とし、晴れた日には温かい陽光が林床まで差し込み、天と大地が一体化したかのような世界である。それまで声だけが聞こえていた野鳥の姿もよく見られるようになった。冬へ向かう。